2021年06月08日
頭痛の種類と正しい対処法②
頭痛の種類と正しい対処法
⑤頭痛の正しい対処法(3)
自ら手当て可能な「緊張型頭痛」の対処法
⑥頭痛の正しい対処法(4)
自ら手当て可能な「片頭痛」の対処法
⑦頭痛の正しい対処法(5)
自ら手当て可能な「風邪による頭痛」の対処法
⑧具体的な頭痛の見分け方
⑨日常生活におけるタイプ別頭痛の予防法
関連情報
・頭痛と健康に関する情報(リンク集)
・健康に関するテレビ番組の情報(リンク集)
■頭痛の種類と正しい対処法
⑤頭痛の正しい対処法(3) 自ら手当て可能な「緊張型頭痛」の対処法
頭痛の中で最も頻度の高いのが緊張型頭痛です。
頭痛持ち約4,000万人のうちの7~8割(2,800~3,200万人)
の方が緊張型頭痛であると言われています。
ストレス頭痛とも呼ばれ、精神的・身体的ストレスにより起こります。
ストレスで頭の横の筋肉や肩の筋肉が緊張すると、血流が悪くなって筋肉内に
老廃物がたまり、その周囲の神経が刺激されて頭痛を発症します。
頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。
他の種類の頭痛に比べて痛みの程度は軽く、日常生活に支障が出る程ではあり
ません。
我慢できる程度の痛みですが、先月号で書いた理由やQOLを下げない為にも
薬の使用などで積極的に止めたい痛みです。
医療現場では、鎮痛薬のほかストレスを和らげる為に抗うつ剤や抗不安薬や、
筋肉を緩めて血流を改善する目的で筋弛緩薬や漢方薬なども処方されます。
一般薬では、痛みの程度が軽い事もあり、アセトアミノフェンやアスピリン、
ロキソプロフェンをはじめ、どの薬も有効です。
痛み止めの副作用でまず皆さま思い浮かべるのが胃痛だと思います。胃痛は、
痛み止めの副作用の中で最も頻度の高い副作用です。
薬の第一選択肢としては、胃痛リスクが少ないアセトアミノフェン主体のお薬、
筋肉の緊張を解く目的で芍薬と甘草を配合したお薬を選ぶと良いでしょう。
そして、痛みが出たらすぐに薬を飲みましょう。
頭痛時の薬以外の対応方法は、ストレス低減や筋肉の緊張を解いて血流を改善
する目的で以下を行うことがおすすめです。
緊張型頭痛時の薬以外の対応方法
・背中や首、上半身を動かし、筋肉の緊張を取り除く。(頭痛体操など)
・頸部を指圧(マッサージ)して、筋肉の緊張を取り除く。(肩もみなど)
・体を温めて血流を改善する。(蒸しタオル、半身浴など)
緊張型頭痛に関する情報はこちら:
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_488.html
⑥頭痛の正しい対処法(4) 自ら手当て可能な「片頭痛」の対処法
片頭痛は、緊張型頭痛に比べて頻度は少ないのですが、より激しい痛みがある
頭痛です。
頭痛持ち約4,000万人のうちの約1割、約400万人の方が片頭痛に悩ん
でいると言われています。
片頭痛は、何らかの理由で脳の血管が炎症を起こし、急激に拡張することで起
こります。
脳の血管が拡張して周囲の三叉神経を刺激し、刺激で発する炎症物質がさらに
血管を拡張して「片頭痛」を発症します。
心身のストレスから解放されたときに急に血管が拡張することがあり、仕事の
ない週末などに「片頭痛」が起こることもあります。
そのほか、寝過ぎ、寝不足、女性ホルモンの変動、空腹、疲労、光や音の強い
刺激なども、「片頭痛」の誘因とされています。
痛みが強く、日常生活に支障が出て寝込むこともある、以下のような特徴を持
つ頭痛です。
片頭痛の特徴
・約半数は、頭の左右片方か両側がズキンズキンと痛む。(拍動性)
・体を動かすことにより痛みが増す。
・吐き気や嘔吐を伴うことがある。
医療現場では、鎮痛薬のほか血管を収縮させたり炎症を抑えるエルゴタミン製
剤やトリプタン製剤、吐気を伴う場合は制吐剤も処方されます。
一般薬では、痛みが弱い場合は、アセトアミノフェン主体の薬が、痛みが比較
的強い場合はやアスピリン、ロキソプロフェンなど抗炎症作用も併せ持つ薬が
おすすめです。
片頭痛は、血管の拡張が三叉神経を刺激し、刺激で発生した炎症物質がさらに
血管を拡張して、だんだんと痛みが強くなることが分かっています。
この為、症状が軽い段階で早めに薬を飲むことで効率的に痛みを抑えることが
可能です。
片頭痛では痛みが出る前に視界にチカチカした光(閃輝)が見える前兆(閃輝
暗点)が表れることがあります。
このような前兆があることを覚えておくと、早期に薬を利用する助けになるで
しょう。
片頭痛時の薬以外の対応方法は、症状を和らげる目的で以下を行うことがおす
すめです。
片頭痛時の薬以外の対応方法
・安静を保つ。
・暗い部屋や、アイマスクを利用して光の刺激を遮断する。
・静かな場所に移動して、音の刺激を避ける。
・冷たいタオルなどで痛む部位を冷やして血管を収縮させる。
・コーヒー、紅茶などで血管を収縮させる作用を持つカフェインを適量摂る。
但し、連日の過剰摂取は逆に頭痛を誘発することがあるので飲み過ぎない。
緊張型頭痛では、体を動かすことで血流が改善されて症状を抑えることが可能
ですが、片頭痛では、血流を増加すると血管が更に拡張して痛みが増加します。
体を温めるか、冷やすかの対応も真逆です。どちらの頭痛であるか適切に判断
することが大切です。
片頭痛では、緊張型頭痛を併発している場合があり、その場合はどちらの頭痛
によって、より強い痛みが生じているか判断して対応することが必要です。
片頭痛に関する情報はこちら:https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_485.html
⑦頭痛の正しい対処法(5)自ら手当て可能な「風邪による頭痛」の対処法
風邪の際には、頭痛だけでなく鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、
たんなど様々な症状が現れます。
複数の症状を軽くしたい場合は、総合感冒薬がおすすめです。
頭痛や発熱以外の症状が薬を使う必要がないほど軽い場合は、副作用防止の観
点から解熱鎮痛薬の使用がすすめられます。
かぜの頭痛におすすめの解熱鎮痛薬がアセトアミノフェンです。
アセトアミノフェンは、以下の特徴を持ち、かぜの頭痛に最初に選んで頂きた
いお薬です。
アセトアミノフェンの特徴
・抗炎症作用がほとんど無い。
・平熱時にはほとんど体温に影響を及ぼさない。(熱を下げ過ぎない)
なぜ、抗炎症作用が無いアセトアミノフェンが良いか?
風邪は、上気道の炎症の総称のことであり、炎症は、体内に侵入したウイルス
などの異物から身を守るための体の防御反応です。
アセトアミノフェンは、炎症をほとんど抑えることなく鎮痛や解熱作用を現し、
また、熱も下げ過ぎないことから、他の解熱鎮痛剤に比べて体の防御力を低下
させ難いと考えられます。
かぜの頭痛には、アセトアミノフェン主体の薬をファーストチョイスとして使
用し、効き目が得られなかった場合に他の薬を選ぶと良いでしょう。
抗炎症作用とかぜに関する情報はこちら(京都大学環境安全保健機構 健康管
理部門/健康科学センターの資料):
http://www.hoken.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/11/nsaid.pdf
⑧具体的な頭痛の見分け方
頭痛で受診する目安を先にご紹介しましたが、それ以外の頭痛(片頭痛、緊張
型頭痛、群発頭痛)はどのように判断すればよいか?
お客様に以下の質問をすることでその判断が可能です。はいの回答の時、それ
ぞれに対応する頭痛である可能性が高くなります。
頭痛の種類を判別する為の質問
【片頭痛】
・階段の昇り降りや歩行時など体を動かすと痛みがひどくなりますか?
・暗くて静かな所で休んでいた方が楽ですか?
・頭の片側だけの痛みや、ズキンズキンと拍動に合わせた痛みがありますか?
・お辞儀をすると、ズンと痛みがひどくなりますか?
・痛みが出た時に気持ち悪くなったり、吐いてしまうことがありますか?
【緊張型頭痛】
・頭が重苦しい、締め付けられるような痛みですか?
・我慢できる痛みですか?
【群発頭痛】
・痛むのは片目の奥ですか?
・我慢できない程の非常につらい痛みですか?
⑨日常生活におけるタイプ別頭痛の予防法
緊張型頭痛や片頭痛は、日常生活の工夫で予防することが可能です。その方法
は以下になります。
【緊張型頭痛】
・首や肩の筋肉を鍛えることで、疲労による筋肉の緊張を抑える。
・マッサージやストレッチなどにより、肩や首の筋肉のこりをほぐす。
(後頸部の筋群をほぐす、痛み体操も効果的です。)
・正しい姿勢により、筋肉の負担を減らす。
・入浴により、筋肉をほぐして筋肉の緊張を抑える。
・枕の高さを合わせて、首や肩の筋肉への負担を減らす。
・メガネの度を合わせる。
・歯のかみ合わせを適切に保つ。
・精神的なストレスの低減。
【片頭痛】
・空腹時に起こりやすく、食事をしっかりと摂って予防する。
・アルコールは、血管拡張作用を持つため過度の飲酒を控える。
・寝過ぎや寝不足が原因になることもあり、適切な睡眠を心がける。
・頭痛が起こりそうだと感じた時には入浴を避け、シャワーに留める。
・頭痛体操で後頸部の筋群をほぐし、脳の痛み調節系に良い刺激を送る。
頭痛体操の詳細はこちら: https://www.jhsnet.net/pdf/zutu_taisou.pdf
慢性頭痛に悩む方は、薬に頼るだけでなく生活習慣も見直すことで症状の改善
に努めて頂ければと思います。
関連情報
・かぜに関する情報(リンク集)
・健康に関するテレビ番組の情報(リンク集)
■頭痛と健康に関する情報(リンク集)━━━━━━━━━━━━━━━━━
①病気が原因ではない「慢性頭痛」と病気が招く「二次性頭痛」とは(NHK
健康チャンネル):https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_483.html
■健康に関するテレビ番組の情報(リンク集)━━━━━━━━━━━━━━
月~木曜日 午後8:30~
「きょうの健康」NHKEテレ
https://www4.nhk.or.jp/kyonokenko/
木曜 午後7:58~
「主治医が見つかる診療所」テレビ東京
http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/
毎週水曜日 午後7:30~
「ガッテン」NHK総合テレビ
http://www9.nhk.or.jp/gatten/
毎週日曜日 午前7:00~
「健康カプセル!ゲンキの時間」TBSテレビ
http://hicbc.com/tv/genki/
【発行者】
第一薬品工業株式会社
〒931-8515 富山県富山市草島15番1
Posted by fujisan
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